「第三次世界大戦は"終わった"が、実際にはまだ続いている」ドゥーギンが語る「今起きていることをどう見極めるか」

02.07.2025

現在、中東における停戦状況は相反する情報の錯綜により極めて混迷を深めており、その複雑さは日々増大しています。一方では、ドナルド・トランプが当事者間での合意達成を性急に発表し、人類が第三次世界大戦の回避に成功したと祝辞を述べましたが、この発言はアメリカが主権国家イランの核施設に対して攻撃を加えた直後に行われたものであり、まさにトランプらしい行動パターンを示すものでした。

しかしながらほぼ即座にイスラエルが、停戦発表後にもイランのミサイル発射を確認したという報告が浮上し、イラン自身もまた同様に混乱したシグナルを発しています。外務大臣は停戦決定を受け入れたと表明しながらも、「これは停戦ではなく、単なる射撃停止に過ぎない」という奇妙な説明を付け加えており、その一方でイスラエルは、軍事行動の継続を視野に入れた準備を整えていると表明しています。

こうして戦争が実際に、停止されたのかどうかについて明確な判断を下すことは不可能な状況となっており、事態は相互に矛盾する情報の流れによってさらに悪化しています。おそらくイランは現在、起こった事象について分析を進めている段階にあり、自国の軍事基地への攻撃が警告であったのか、ミサイルが目標に到達したのか、イランとイスラエルの領土内でどのような施設が被害を受けたのか、さらには両国指導部内に意見の相違が存在するのかといった点について検討を重ねているものと思われます。

われわれが目撃しているのは、あまりにも多くの対立する物語であり、性急な結論を避けるべきであると考えています。第三次世界大戦は既に始まったのか、それとも既に終結したのでしょうか。あるいはこれは単なる一時的な激化に過ぎず、その過程で新たな「レッドライン」が破られ、イランの核施設が再び攻撃対象となったのでしょうか。まずイスラエルから、続いてアメリカからの攻撃という形で展開されたこの一連の出来事の真の意味を理解することは、現時点では困難な状況にあります。​​​​​​​​​​​​​​​​

私の見解ではこれらすべてが、何ら良いものをもたらすとは思えません。われわれは第三次世界大戦の状態にあり、この戦争はひとたび開始されてしまえば、もはや単純に終結させることはできないものなのです。より長期的な視点から事態を観察するならば、出来事は途方もない速度で展開しており、それはまるで「量子力学におけるスピン」のように、粒子があまりにも高速で回転しているため、われわれにはその動きが見えないという現象に似ています。

この狂乱的な世界的事件の速度が、さまざまな政治的利害に奉仕する膨大な量の偽情報や物語と組み合わさることで、第三次世界大戦が猛烈な勢いで開始され、同じ速度で「終結」するという現象が生じています。そして時として、これが終わりなのか始まりなのかが理解不能になるほど、すべてが高速かつ回転するように展開しているのです。

そのため性急に総括を行い、これが何であったかについて最終的な結論を下すべきではないと考えています。起こった出来事の本質を理解することができるのは、その過程が論理的な極限に達したときのみであり、現在はそれが明らかに起こっていない状況にあります。

現在起こっていることをより広範な文脈に位置づけ、歴史を動かしている根本的な力について、主権の概念と意思決定について考察することが必要であると思われます。われわれが観察している政治的状況に対する哲学的思考が不足しており、誰もがコメントを急ぎ、流行に合わせようと試みているにもかかわらず、哲学的な考察はどこにも見当たりません。

現在においては、起こっていることに対してある程度の距離を保つことが必要であると考えています。おそらくそのときにのみ、われわれは実際に何が起こっているのかを真に理解することができるようになるでしょう。​​​​​​​​​​​​​​​​

翻訳:林田一博