「鉄槌のバンス」

JDバンスはまるでバイキングの狂戦士のように、ミュンヘンへと足を踏み入れました。彼はストリップモールとトウモロコシ畑が広がるアメリカの地からやってきた男です。目の前に広がるヨーロッパが築いた虚構の遺跡。

かつての誇り高き帝国の名残が、ひび割れた石のように崩れかけています。
彼はドイツのオラフ・ショルツ首相に会おうとはしませんでした。なぜならば、もはや交渉する価値がないからです。ショルツはすでに過去の人であり、失敗した「ツァイテンヴェンデ」―決して実現しなかった時代の転換―の中に埋もれつつあります。

アメリカ人にとって礼儀を装った虚構は不要です。もはや西側自由主義の崩れかけた屍を覆い隠すための外交辞令も必要ありません。彼らの言葉は残酷なほどに率直です。「彼に会う必要はない。どうせ長く首相ではいられないのだから。」

一方で、キリスト教民主同盟（CDU）の首相候補フリードリヒ・メルツは、迫りくる変革に怯えながら立っています。彼は「非常に厳しいメッセージが突きつけられる」と警告しました。これまでミュンヘンでは取引が交わされ、欺瞞が語られる場でした。しかし今回は違います。ここは対決の舞台となるのです。

アメリカはもはや幻想や甘い物語を売るつもりはなく、ヨーロッパに向かって問いかけます。「移民の流れを止めよ。蜂起を認めよ。民衆を恐れるのではなく、その声に耳を傾けよ」と。

バンスは明言します。「大量移民という死のスパイラルと、押し付けられた疲弊したリベラリズムを拒絶しなければならない」と。ヨーロッパのエリートたちは、覚醒しつつある民衆に対して「偽情報」という言葉を武器のように振りかざします。しかし、彼らはかつて自らが批判したソビエトのコミッサールと何も変わりません。皮肉は、ルール地方の工場を覆うスモッグのように、濃密で息苦しいものです。

バンスとトランプはこう宣言しました。  「ゲームは終わった」

もはや統一という幻想は崩れ去り、ヨーロッパの主権と民族的活力そしてシャルルマーニュの時代から続く歴史が、眠りの中で蠢いています。

メルツはこれを「転換点」と呼びました。しかし、彼は潮流を見誤っています。これは単なる「保守的な転換」ではありません。秩序だった移行でも、慎重なレトリックでもないのです。これは終末論的な断絶であり、時代を分かつ決定的な裂け目です。ダムはすでに決壊しつつあります。旧秩序の側は、空虚なスローガンや欺瞞的な敬虔さで、ひび割れを修復しようと必死になっています。しかし、どれだけフランクフルター・アルゲマイネ紙にインクを流し込んでも、怒りの波を抑えることはできません。

人々はすでに偽りを見抜いていたのです。

ミュンヘンでは新たな陣営が形を成しつつあります。コンセンサスの時代は、もはや終焉を迎えました。バンスは、誰かに懇願することもなければ、芝居がかった姿勢をとることもありません。彼は強く要求します。「ヨーロッパは目を覚まし、自らの存亡をかけた戦いにおいて、自らの側に立たなければならない」と。

ミュンヘン安全保障会議は、もはや以前と同じものではありません。幻想の時代は終わりを迎えました。ここから始まるのは大いなる対決なのです。

翻訳：林田 一博